キューブについてよく検索される質問のひとつが、「ルービックキューブを揃えると頭が良くなるの?」「頭のいい人しか揃えられないの?」というものです。
短く答えると、揃えるのに天才である必要はありません。そして、今わかっている限りでは、IQが上がるわけでもありません。ただし、とても役に立つ力をいくつも鍛えてくれます。順番に見ていきましょう。
揃えるには頭が良くないといけない?
どうやって揃えるかによります。何の助けも借りずに自分だけで揃え方を見つけるのは、本当に難しいことです。発明者のエルノー・ルービック本人でさえ、揃えるのに1か月以上かかりました。キューブの組み合わせは約4325京通りもあるので、適当に回していても揃いません。
でも、そうやって揃える人はほとんどいません。ふつうは手順を覚えます。いくつかのステップがあり、それぞれに繰り返す回し方が少しあるだけです。私たちのステップごとの揃え方のようなやさしい方法なら、8歳の子どもでも、自分にはできないと思っていたお年寄りでも揃えられます。数学が得意である必要も、すごい記憶力も要りません。必要なのは根気です。
つまり、キューブが揃えられても天才の証明にはなりません。証明されるのは、もっと価値があるかもしれないこと。難しいことを学ぼうと決めて、最後までやり遂げたということです。
ルービックキューブで頭は良くなる?
ここは正直に言いましょう。ルービックキューブを揃えると一般的な知能やIQが上がる、ということを示した研究はありません。
一方で、ある特定の技能(チェス、音楽、「脳トレ」ゲームなど)を練習すると全体的に頭が良くなるのか、ということは盛んに研究されてきました。心理学者のジョバンニ・サラとフェルナン・ゴベによるものなど、こうした研究をまとめた大規模なレビューの結論は同じです。練習したことはぐんと上達しますが、その上達はほかのことにはほとんど広がりません。チェスをたくさん指す人はチェスが強くなりますが、何でも賢くなるわけではありません。キューブもおそらく同じでしょう。
さらに「選択効果」もあります。パズルが好きな人は、もともと空間を把握する力が高く、根気強いことが多いのです。キューブ好きに成績のいい人が多くても、キューブがそうさせたとは限りません。
キューブで本当に鍛えられる力
IQが上がらなくても、役に立たないわけではありません。キューブを揃えるとき、あなたは次のような力を使っています。
- 空間認識力:面を回す前に、パーツがどう動くかを思い浮かべる力です。これは鍛えられる力で、200件以上の研究を分析した報告(アタルら、2013年)では、空間認識力は練習で伸び、その効果は長続きし、練習していない課題でも見られることがわかりました。空間認識力は、数学や理科、工学と深く関係しています。
- 記憶力:最初は各ステップの回し方を覚えますが、慣れてくると手が勝手に動くようになります。
- 集中力と根気:一手間違えるだけで崩れてしまうので、落ち着いてよく見る習慣がつきます。
- 問題を分けて考える力:キューブを一気に揃える人はいません。まず十字、次に一面、次に一段……。大きな問題を小さなステップに分けるのは、ほとんど何にでも役立ちます。
- 手の器用さ:特に、どんどん速く揃えようとするとよく鍛えられます。
そのため、授業でキューブを使う学校もあります。図形や空間認識の学習に使ったり、不可能に思えたことでも一歩ずつ学べば身につくことを、子どもたちに実感してもらったりするためです。
科学がたくさん詰まったパズル
興味があれば、キューブにはたくさんの数学が隠れています。どんなにバラバラのキューブでも、20手以内で揃えられることを知っていましたか? そして揃えられるようになったら、市松模様やキューブ・イン・キューブのようなルービックキューブの模様も作れます。パーツの動き方を理解するのにぴったりの、楽しい遊び方です。
では、やってみる価値はある?
あります。天才にはなれなくても、キューブの揃え方を覚えるのは誰にでもできる挑戦で、空間認識力や記憶力、根気を鍛えてくれます。そして、多くの人が無理だと思っていることをやり遂げる達成感も味わえます。まだ揃えられないなら、ルービックキューブの揃え方(ステップごとの解説)から始めてみてください。少し練習すれば、きっとできるようになります。
